海の環境NPO法人OWSによる北限域の造礁サンゴ調査プロジェクトサイトです。


プロジェクトの協力研究者より (2011年)

北限域のサンゴの重要性 〜OWSサンゴ調査に期待します

山野博哉 (やまの ひろや)
国立環境研究所 主任研究員
博士(理学)

サンゴ礁、と聞くと、多くの方は、沖縄などの熱帯や亜熱帯をイメージされるかもしれません。でも実際には、サンゴは、サンゴ礁を作らなくても、日本海側では佐渡島、太平洋側では千葉県まで分布しています。こうした北限域に分布するサンゴは、地球温暖化による水温上昇に対して敏感に反応すると考えられます。実際に、熱帯性のサンゴが本州で見つかったというニュースを耳にする機会が増えました。水温上昇で熱帯のサンゴが白化して死んでしまうと懸念されている今、北限域のサンゴは、地球温暖化の影響を知る上でも、これからのサンゴの存亡を考える上でも、非常に大事な対象となることは間違いありません。それにもかかわらず、北限域のサンゴに関して、何が、どこに、どのくらいいるのか、という点に関して、断片的な情報しかありませんでした。OWSの活動により、関東でのサンゴ分布が明らかになることを期待しています。

北限の造礁サンゴに異変はないか?

中井達郎 (なかい たつお)
国士舘大学・立正大学 非常勤講師
博士(理学)

今、地球温暖化が人類にとっての大きな課題となっている。海水温の上昇も懸念され、海にすむ生物の様子に影響を与えつつあると言われる。サンゴ礁をつくる造礁サンゴは熱帯性の生物であるが、白化現象にみられるように海水温の上昇に敏感に反応している。もともと水温があまり高くなく造礁サンゴの生長にとってはぎりぎりの環境である分布北限の様子も地球温暖化によって変化する可能性が高い。北限での生息地の拡大や種類の変化などを調べることは、地球温暖化を監視することにもつながる。